そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
その直後、キッチンで柳本さんの笑い声が聞こえた。

「冗談だよ。ほんっと、岩倉さんって冗談の言い甲斐がある人だよね。大智も言ってたけど」

もう!

びっくりした。また変な空気になったのかと思った。

それにしても、東條さんはそんなこと柳本さんに話してたんだ。

私のことおちょくってばかりだったもん。

でも今はそんなことでも私を話題にしてくれたっていうだけで嬉しくて体がほくほくした。

「じゃ、逆に聞くけど岩倉さんは?」

突然振り替えされて、東條さんのことを考えていたのがばれたかと思い顔が熱くなる。

「彼氏はいません」

「そうなんだ。じゃ、しばらくここに暮らしてても支障はないわけだ」

「支障って・・・・・・私のことより東條さんにはご迷惑じゃないでしょうか」

「迷惑もなにも、大智は岩倉さんを自分で招き入れてるんだから気にすることないさ」

そうなの?本当にそうなのか確かめようとした時、小鍋を手にした柳本さんがキッチンから出て来た。

ソファーの前のテーブルに小鍋を置くと、お椀に雑炊をよそって手渡してくれる。

「ありがとうございます」

「うまく出来てるといいけど」

そう言って照れくさそうに笑った柳本さんも自分の分をお椀に入れた。

一口スプーンにすくって食べる。

薄味で口の中で卵がふわっととろけた。

「おいしい」

ゴクンと飲み込んだ後、思わず柳本さんの顔を見て言った。

「本当に?よかった」

柳本さんもホッとした様子で自分のお椀の雑炊をかき込むように食べる。

「確かにうまいな。これでいつでもお嫁に行ける?」

そんなふざけたことを言う彼に思わず笑ってしまう。

柳本さんってこんなチャーミングな表情をする人だったんだ。

初めて会った時の洗練された姿からは想像もしなかったこと。

こんなイケメンなのに、いたずらっ子みたいな顔で冗談を言う柳本さんのギャップにやられちゃう女性もきっと多いんだろうな。

東條さんとはまた違うけれどとても魅力的な男性だと思う。

香織は、こんな柳本さんも好きだろうか。

いやいや、今のこの状況話したら焼き餅やくから言えないか。










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