そばにいさせて～クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐

１３．通り雨

１３．通り雨


翌日は、色んなモヤモヤを忘れたくて朝早く出勤し仕事に没頭した。

前日病み上がりではかどらなかった仕事を次々と片づけていく。

発表会を手伝ってもらうスタッフ達にも段取りを説明し、当日の準備物も早めに用意した。

香織が仕事に耽る私のそばに心配そうな表情でやってくる。

「すごい勢いで仕事してるけど、何か手伝おうか？」

「ありがとう、大丈夫だよ。当日の受付だけよろしくね」

「うん、了解」

「そうそう。実は、香織に伝えなくちゃいけないことがあって」

香織は眉間に皺を寄せると腕を組み私に顔を近づけた。

「何？嫌な予感がするんですけど」

「例の柳本さんとの食事会だけど、ちょっと無理になっちゃったの」

「無理って？」

「昨日、柳本さんからその日別件が入ったから行けなくなったって言われちゃった」

私は平静を装いパソコンに視線を向けたまま伝えた。

「えー！がっくり！」

「本当にごめんね」

「どうして友梨が謝るの？」

「そうだね」

すぐに訂正する。

「また機会作ってねぇ。今のところ友梨だけが頼りなんだから」

香織は泣きそうな顔で私の肩に手を置いた。

「･･････うん」

多分、もう柳本さんとの話は続けられない。香織にわからないようにため息を一つつく。

「柳本さんて発表会当日は来るよね？」

「来るよ」

私の担当だもの。来るはず･････だけど。

「よし！じゃ、私、がんばって発表会当日に柳本さんに接近しちゃおう！」

昨日の今日だから、私は複雑な気持ちで香織に頷いた。

ごめんね、香織。本当のことがまだ言えない。

でも、香織の恋がうまくいくよう祈ってるから。

私はそのまま出張に出ていった香織の後ろ姿を祈るような気持ちで見送った。