そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「今日は、一日早く帰って下さったんですね。私のためにすみません」

ずっと見ていたい横顔を見つめながら言った。

「別にお前のために早く帰ったわけじゃないさ。単に仕事が早めに終わったってだけだ。誤解するな」

妙に無愛想な東條さんにまた意地悪なこと言われてるけれど、少しも腹が立たない自分に驚きながら、くすっと笑ってしまう。

「何がおかしい?」

東條さんはそう尋ねると、目の前の信号を見上げハンドルを切り右折した。

「だって、前みたいに東條さんに意地悪なこと言われてるのに、ちっとも腹が立たないから」

「なんだそれ」

彼はそう言うと、軽く口もとを緩めた。

「まるでお前の方が優位に立ってるような言い方に聞こえるけど」

「そういう訳じゃないです。だけど、嬉しいんです」

「何が?」

「こうして東條さんのそばにいられることが」

わわっ。

思わず本音が出てしまい、顔が一気に沸騰する。

今日の私は変だよね・・・・・・心の声が全部口から出てるような。

黙ってうつむいていると、東條さんがフッと笑い言った。

「そんなこと言って、俺を誘惑しようとしてる?お嬢ちゃん」

またお嬢ちゃん?私は顔を上げて、東條さんの横顔を軽くにらむ。

丁度信号が赤になり、車は速度を落とし停車した。

ここぞとばかりに久しぶりに言い返してみる。

「誘惑って何ですか?お嬢ちゃんだからそんな巧妙なテクニック知りません」

その途端、東條さんは片手で顔を覆い笑い出した。

「何がおかしいんですか?」

彼はひとしきり笑って「ふぅ」と息を吐くと、私の方に顔を向けた。

その目は優しく微笑んでいる。

「お前、成長したな。お嬢ちゃんはもうそろそろ卒業か」








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