そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「俺はその償いの為に東條物産を離れ、決して社員達が間違いを起こさない会社を自分で作ろうと思った。そして、俺の作ったシェアオフィスで少しでも救われる社員がいれば、とも」
全てはあの放火事件から繋がっていたんだ。
暗くて彼の表情がよくわからない。今、彼の目は私を抱きしめてくれる時の優しい目をしてるの?
「正直、初めて友梨と出会った時は、あの鮮魚いわくらの岩倉友梨だとは思いもしなかった。気付いたのは君をホテルに泊め、実家に送っていった時だ」
「私に親切にしてくれたのは、やっぱり私が鮮魚いわくらの娘だからですか?」
暗闇の中に、彼の深い呼吸音が微かに聞こえる。
しばらくの沈黙の後、東條さんはゆっくりと言った。
「そうだ」
私はぐっと歯を食いしばり、大きく息を吸った。
青白い光が夢であってほしいと願いながらも、現実と幻想の間で何か言わなくちゃと思っている。
「親切にするって・・・・・・キスしたり抱きしめたりすることも東條さんにとっての親切なんですか?それとも、その他大勢の女性にしているように手近にいた私にしていただけなんですか?」
彼が私の手を握る力を強めたような気がした。
「明日からは、君はハピーオフィスの一顧客、俺はハピーオフィスのGMとしての関係に戻ろう」
「それが、東條さんの言う『全て』ですか?」
洞窟の中で、語気を荒げた私の声が反響する。
一瞬、揺らいでいた青白い光がぴたっと止まったように見えた。
私の悲しみが土ボタルに伝染したみたいに。
・・・・・・信じられない。
東條さんは意地悪だけど、そんなこと本気で言ったりしたりするような人じゃないって思っていたから。
こんなに不安な気持ちで立ち尽くす私に、東條さんは何もしてくれない。
ゴールドコーストの砂浜では怖いと思った時はキスしてやるだなんて言ってたくせに。
「戻るぞ」
彼は体の向きを変え、私の手をぐっと自分の方へ引き寄せた。
思わず足もとが不安定になり、彼の背中に抱きつくようにして倒れ込む。
大好きな彼の匂い、体温、その鼓動が今でも私の体中に刻み込まれている。
「いつまで抱きついてる?」
それなのに、私を突き放すような彼の言葉がその背中から私の耳に響いてきた。
どうしてかわからない。
きっとあり得ない期待をしていた私が馬鹿だったんだ。
所詮、東條さんは雲の上の人。最初から私なんかお遊びに過ぎなかった。
鮮魚いわくらの娘だからこうして親切にしてくれただけ。わかってたはずだったのに。
絶対泣くもんか。
私は心の中で涙を封印し、東條さんの背中から離れる。
そして、差し出された彼の手を拒み一人で洞窟の出口に向かっていった。
全てはあの放火事件から繋がっていたんだ。
暗くて彼の表情がよくわからない。今、彼の目は私を抱きしめてくれる時の優しい目をしてるの?
「正直、初めて友梨と出会った時は、あの鮮魚いわくらの岩倉友梨だとは思いもしなかった。気付いたのは君をホテルに泊め、実家に送っていった時だ」
「私に親切にしてくれたのは、やっぱり私が鮮魚いわくらの娘だからですか?」
暗闇の中に、彼の深い呼吸音が微かに聞こえる。
しばらくの沈黙の後、東條さんはゆっくりと言った。
「そうだ」
私はぐっと歯を食いしばり、大きく息を吸った。
青白い光が夢であってほしいと願いながらも、現実と幻想の間で何か言わなくちゃと思っている。
「親切にするって・・・・・・キスしたり抱きしめたりすることも東條さんにとっての親切なんですか?それとも、その他大勢の女性にしているように手近にいた私にしていただけなんですか?」
彼が私の手を握る力を強めたような気がした。
「明日からは、君はハピーオフィスの一顧客、俺はハピーオフィスのGMとしての関係に戻ろう」
「それが、東條さんの言う『全て』ですか?」
洞窟の中で、語気を荒げた私の声が反響する。
一瞬、揺らいでいた青白い光がぴたっと止まったように見えた。
私の悲しみが土ボタルに伝染したみたいに。
・・・・・・信じられない。
東條さんは意地悪だけど、そんなこと本気で言ったりしたりするような人じゃないって思っていたから。
こんなに不安な気持ちで立ち尽くす私に、東條さんは何もしてくれない。
ゴールドコーストの砂浜では怖いと思った時はキスしてやるだなんて言ってたくせに。
「戻るぞ」
彼は体の向きを変え、私の手をぐっと自分の方へ引き寄せた。
思わず足もとが不安定になり、彼の背中に抱きつくようにして倒れ込む。
大好きな彼の匂い、体温、その鼓動が今でも私の体中に刻み込まれている。
「いつまで抱きついてる?」
それなのに、私を突き放すような彼の言葉がその背中から私の耳に響いてきた。
どうしてかわからない。
きっとあり得ない期待をしていた私が馬鹿だったんだ。
所詮、東條さんは雲の上の人。最初から私なんかお遊びに過ぎなかった。
鮮魚いわくらの娘だからこうして親切にしてくれただけ。わかってたはずだったのに。
絶対泣くもんか。
私は心の中で涙を封印し、東條さんの背中から離れる。
そして、差し出された彼の手を拒み一人で洞窟の出口に向かっていった。