そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
15.助けたい
15.助けたい


帰ってきてからの私は今までに増して仕事に耽った。

必死に東條さんのことを考えないようにしていたこともあるけど、この間の発表会を評価され、松原マネージャーから昇進の話と同時にファルコン化粧品のフランス本社に1年間研修を兼ねて行ってみないかと言われていた。

現地の会社で研修できるなんて、夢みたいな話でうちの会社でもまだ数名しか選ばれた人間はいない。

香織は「いっちゃやだー!寂しくなる!」なんて袖を引っ張っていたけれど、こんなチャンスはまたとないこともわかっていた。

それに、東條さんとこうなってしまった今、日本を離れて自分の力を試しなさいって神様が言ってくれてるのかもしれない。

松原マネージャーには、現地研修については断るなら早めの方がいいから来週末までに返事がほしいと言われている。

私がフランスに1年行ったら、きっと家族も寂しがるだろう。

決める前に家族には一応相談しといた方がいいと思い、その夜久しぶりに母に電話をした。

『友梨、久しぶりじゃない!元気にしてたぁ?』

相変わらずの少し間延びした母の声がなんだか懐かしく聞こえる。

「うん、仕事が忙しくてバタバタしてるけれど元気よ。皆は?」

『ええ皆元気。お兄ちゃんの結婚準備でこちらも落ち着かないわ』

「そう。お兄ちゃんも来年の春いよいよ結婚かぁ」

『あ、そうそう、つい最近なんだけど、店に友梨のこと色々尋ねてきた人がいたんだけど』

「誰それ?」

『えっとね、確か東方新聞社の出版部とか言ってたけれど知ってる?』

東方新聞社って、真知さんの勤めてる新聞社だ。

「知り合いが勤めてるけど、何聞かれたの?」

『友梨がこの店にはいつまでいたのかとか、今はどの辺りで勤めているのかとか、結婚する予定はあるか、とか。個人情報ぎりぎりのところを聞いてくる感じ。あなたまさかやばいところに頭突っ込んでるんじゃないでしょうね』

「まさかぁ・・・・・・」

ってどうして、実家にまで押しかけて東方新聞出版部の記者が私のことを詮索してるんだろう。
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