そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
忘れようと思えば思うほど、彼の存在は色濃く私の心に現れる。

その色は、時間が経つほど褪せるんじゃなく濃くなっていくのを感じていた。

それだけ私の心にも体にも彼の記憶が刻まれていて、彼との出会いが人生の中でもかけがえのない時間だったからだろう。

東條さんにとってはどうだったのかな。

私みたいな女性は嫌というほど見てきて、すぐに忘れているかもしれない。

「そういえば、昨日の会社の帰り、ビルから出たところで友梨のこと尋ねてきた人がいたんだけど教えてよかったかな」

香織は気を取り直して再びパスタを巻きながら私に言った。

「私のこと尋ねてきた?」

もしかして?心臓がドキドキし始める。

「うん、東方新聞社の記者だって言うの。先月だったか、友梨が東方新聞社主催の座談会に出たとか言ってたからその関係だと思ったんだけど違う?」

「何を尋ねてきたの?」

「確か、このビルに友梨が勤めているのかとか、ハピーオフィスには週に何回くらい行くのかとか。でもよく考えたら変よねぇ。だって、こないだ座談会したんだからそんな情報は知ってて当然なのにわざわざ尋ねてくるなんて」

ハピーオフィス?

どうして、その名前が出てくるんだろう。

香織が大きな口を開けてパスタを頬ばるのを見つめながら、必死に頭を働かせる。

私のこと嗅ぎ回るって、一体何が絡んでるの?

まさか、真知さんが言ってたように東條さんの近くにいたことで目を付けられてる?

でも、もしそうだとしてどうしてだろう?

東條さんと私の間に、何か隠している事実がある?

その時、テーブルの上に置いてあるスマホが震えた。

見ると、真知さんからだった。
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