そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「告発って?」

久しぶりに聞く山村秘書の存在は、私の胸を不安で押しつぶそうとしている。

『私も俄には信じられない話なんだけど、東條GMが職権濫用して顧客の女性に手を出してるって。しかも手を出した相手っていうのが、以前、GMが東條物産にいた時に自分の部下がした不始末で焼失した店の娘だっていうの。もしこれが本当だったら、とんでもないことだけど、あんな頭のいい東條GMがそんな軽はずみなことするかしら?この話、友梨ちゃんまさか心当たりないわよね?』

どうして・・・・・・そんな?

スマホを持つ手が震えていた。

『友梨ちゃん?』

今、この状況が夢なのか現実なのかわからなくなる。

真知さんが私の名前を何度か呼ぶ声が耳から聞こえてくる。

『友梨ちゃん、黙ったままでいいから聞いて』

真知さんの声は妙に冷静だった。

『これからもし、どんなことを聞かれても知らないで通すこと。あくまでこれは私の憶測で話をしているんだけど、友梨ちゃんは東條GMとは一切関わりがない、いいわね?座談会で面識があるだけ。ただそれだけ』

座談会で面識がある、ただそれだけ。

これは、私を守るために言ってくれてるんだろうか。

勘のいい真知さんだから察してくれてるんだろうか。

『私も友梨ちゃんから何も聞いてない。これからも言わなくていい。だから何も知らない。私も友梨ちゃんも何も知らないのよ』

「・・・・・・はい、わかりました」

『よかった。ようやく声が出たわね。こちらのことは大丈夫だから。友梨ちゃんに迷惑かからないように私もうまく動いてみる。もし何かあればすぐに連絡して』

真知さんはそう言うと、何事もなかったかのように『また連絡する』と言って電話を切った。

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