そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
カフェに着くと、柳本さんは一番奥の二人掛けの席に座っていた。

彼は本を読んでいたけれど、私が着くと顔を上げ優しく微笑む。

東條さんとは対照的ないつも柔和な表情は健在だ。

「お疲れさま」

私は「お待たせしました」と小さく呟くと、彼の前に座った。

「ご無沙汰しています。柳本さんはお変わりないですか?」

「あの時は申し訳なかった。本当は君の前に顔なんか出せる立場ではないんだけど」

「いえ、もう大丈夫です。ハピーオフィスを辞められたと聞きましたが?」

「今はハピーオフィスの時にお世話になっていたデリバリー食品会社で営業として働かせてもらってる。全くありがたい話だよ」

東條さんが言っていた通り、すぐに仕事が決まっていたことに安心する。

一呼吸置いた後、気持ちを抑えきれず柳本さんの顔を真っ直ぐに見据えて尋ねる。

「あの、東條さんはお元気にされていますか?今どこに?」

そんな私を見て、柳本さんはプッと噴き出す。

「岩倉さんは相変わらず大智に夢中なんだな。つくづく妬けちゃうよ」

いたずらっぽく微笑む柳本さんの言葉に思わず顔が火照る。

「大智は元気だよ。今アメリカにいる。これ以上は今は言えないんだけどね」

柳本さんは周囲に注意を払いながら声を潜めて教えてくれた。

その言葉を聞いてひとまずホッとした私は椅子に深く座り直す。

「元気ならよかったです」

「今回のこと、岩倉さんはどこまで知ってるのかな」

私は、今日真知さんから聞いた話を柳本さんに伝えた。

「そうか。結構知ってるんだな」

柳本さんは苦笑すると、カフェの店員を呼び私にも何か頼むよう促す。

私は柳本さんと同じカフェオレを頼んだ。

「大智は岩倉さんを守るために、今は君との関係を一切断ってる」

柳本さんはテーブルに両肘をつき顔の前で両手を組み、目を伏せたまま続けた。

「急に冷たくされて岩倉さんも驚いただろう?あいつはそういうところが不器用なんだよな。グレーで通せばいいのに大智の選択には白か黒しかないからな。こんなこと言ったらまた余計なこと言うなって怒られるね」

そう言うと、首をすくめておどけた調子で笑った。

東條さんは、今回のことがあって私から離れたんだ。

私を守ってくれるために・・・・・・。

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