そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「多分、岩倉さんに全てを伝えることが余計に君を苦しめることになると思っての判断だっただろう。だって、岩倉さんは大智から例えそんな話を聞いたところで自分も一緒に戦います!なんて言いそうだもんね」

柳本さんは軽く笑いながらカフェオレの入ったカップを口につけた。

ゴールドコーストで急に私への態度が急に変わったのは、柳本さんの言う通り私が少しでも気持ちが流されないように敢えて冷たく突き放したのかもしれない。

空港で最後に強く抱きしめてくれた時の彼の鼓動を思い出し胸が熱くなった。

「大智から聞いたけど、大智の部下が火事を起こしたって店は岩倉さんのご実家だったんだって?俺もまさかって驚いたよ。大智が、岩倉さんのご実家にはこれ以上迷惑をかけられないって心配していたけど大丈夫かい?」

実家のことまで心配してくれてたんだ。

柳本さんから聞く東條さんの優しさを感じるたびに感動して胸が震える。

「実家にも東方新聞社の人が一度来たみたいですけど、それ以降は大丈夫です」

「そうか、それはよかった」

柳本さんは安心したような表情で頷いた。

「とにかく、大智は知人の弁護士に相談しながら、全てが穏便に治まるよう準備を整えてから日本に帰ってくると言ってた。その間に完全に君との繋がりがないことを東方新聞社に釘を刺さなければならないと言っててね、俺が今回岩倉さんのフィアンセだって名乗りでることを提案したんだ。あいつは最初渋い顔していたけど、最終的には賛同して『くれぐれもフィアンセのふりだけだぞ』と俺にも釘を刺してた」

「そんな」

冷やかすような表情で笑う柳本さんにどんな顔していいかわからずうつむいた。

「あいつを信じてやって」

信じる?

「大智は間違いなく他の誰よりも君を大切に思ってる」

思いがけないその言葉に目を見開いて、柳本さんの顔を見つめた。

「まぁ、これは俺の洞察的見解だから、今度直接大智に確かめて」

体中がますます熱くなっていく。

本当に?柳本さんの言葉を信じてもいいの?

東條さんに直接気持ちを聞いても構わないの?

そんなこと言われたら、会いたい気持ちがどんどん募っていく。



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