そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「それはそうと、フランスへの準備は着々と進んでいるのか?」

「ええ、まぁ。会社からフランス語研修も受けさせてもらってますがこれがなかなか難しくて」

「友梨にしては弱気な発言だな」

東條さんはそう言うとくすっと笑った。

「語学なんて机上での勉強だけじゃダメだ。現地で触れるのが一番手っ取り早い。きっとフランスへ行ったらあっという間に習得できるさ」

「そんな簡単に言いますけどぉ」

私は口を尖らせて、彼を軽くにらむ。

家族に東條さんを紹介するまでは、なんとなく気持ちが落ち着かなくて、正直フランス行きの準備は捗っているとは言い難い。

気がつけば出発の日まで3週間を切っていた。

日本を離れたら、しばらく東條さんとも会えなくなる。

それを考えるたびに、胸がきゅうっと締め付けられて自分の気持ちをどこに持っていけばいいのかわからなくなる。

彼の肩にそっと自分の頭を乗せた。

「ん?友梨からもたれかかってくるなんて珍しいな」

東條さんはもたれた頭に自分の手のひらを当て、ポンポンと軽く叩く。

「これからのこと、楽しみの方が多いし、きっと希望に満ち溢れてるって信じてるけれど、時々不安になるんです」

「それが普通の感覚だ。俺は違うけれどね」

「違う?」

「友梨とこれから先の人生を共にできると思うだけで、そんな不安は一切ない。例えどん底を味わったとしてもね」

「そんなに私の存在って東條さんを支えてるんですか?」

「もちろん。俺は友梨を支え切れていない?」

「そんなことはない、ですけど」

ううん。

絶対ない。

彼がそばにいるだけでどんなことも可能になるって信じられる。

心から幸せだと言える。
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