そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「どこかで見たことある奴だと思ったが、東條物産の御曹司だって?」
祖父の静かな低声ほど恐ろしいものはない。
昔ほどの威勢はなくなったものの、その鋭さは未だ健在だった。
「はい、東條物産時代には大変ご迷惑をおかけしました」
まだ興奮した兄の横で東條さんは表情を引き締め深く頭を下げた。
「ちっ!」
祖父は舌打ちすると、カウンタの席に腰を下ろす。
「おじいちゃん、一体どうしたの?」
お盆にお茶をのせた母が心配そうな顔で東條さんと祖父の顔を交互に見た。
祖父はこちらに背を向けたまま母に向かって声を荒げる。
「お前は東條物産と聞いて何も思い出さないのか?」
「え?」
母はしばらく考えていたけれど、ふとあの時の記憶が蘇ったようだった。
「まさか、あの東條物産の方?」
東條さんは何も言わず、母にも頭を深く下げた。
「当時はご挨拶もままならないままあのような形で撤収することになり、本来ならこちらに顔向けできる立場ではないのは重々承知の上で参りました」
彼は、それでも顔を上げたまま祖父と母の顔をしっかりと見つめる。
「よくもまぁぬけぬけとここに来られたもんだ。お前の部下がやらかしたことは一生俺たちの心に刺さって消えることのない傷になってるんだぞ。それがまた友梨のフィアンセだと?冗談も休み休み言え!」
祖父は母がカウンターに置いたお茶を持ち上げ、わざとらしく音を立ててすすった。
祖父の静かな低声ほど恐ろしいものはない。
昔ほどの威勢はなくなったものの、その鋭さは未だ健在だった。
「はい、東條物産時代には大変ご迷惑をおかけしました」
まだ興奮した兄の横で東條さんは表情を引き締め深く頭を下げた。
「ちっ!」
祖父は舌打ちすると、カウンタの席に腰を下ろす。
「おじいちゃん、一体どうしたの?」
お盆にお茶をのせた母が心配そうな顔で東條さんと祖父の顔を交互に見た。
祖父はこちらに背を向けたまま母に向かって声を荒げる。
「お前は東條物産と聞いて何も思い出さないのか?」
「え?」
母はしばらく考えていたけれど、ふとあの時の記憶が蘇ったようだった。
「まさか、あの東條物産の方?」
東條さんは何も言わず、母にも頭を深く下げた。
「当時はご挨拶もままならないままあのような形で撤収することになり、本来ならこちらに顔向けできる立場ではないのは重々承知の上で参りました」
彼は、それでも顔を上げたまま祖父と母の顔をしっかりと見つめる。
「よくもまぁぬけぬけとここに来られたもんだ。お前の部下がやらかしたことは一生俺たちの心に刺さって消えることのない傷になってるんだぞ。それがまた友梨のフィアンセだと?冗談も休み休み言え!」
祖父は母がカウンターに置いたお茶を持ち上げ、わざとらしく音を立ててすすった。