そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「ん?どういうことだ?」
祖父は顔だけ東條さんの方に向ける。
「東條物産からは今は離れていますが、東條家の息子であるという事実はどうしたって消えない。その上で一人の人間として友梨さんにふさわしいかどうか判断してもらいたかったんです。僕という人間を知って、許して頂けるまでこちらに何度でも通う覚悟はできています」
「ふん。そんな覚悟をこの状況で易々と言えるなんて、君も色んな修羅をくぐってきてるな。なかなかの度胸だ」
祖父はそう言うと初めて口もとを緩めた。
「ええ」
東條さんも口もとを緩めた祖父に少しだけ微笑む。
「東條くんの気の済むまでここに通えばいい」
そう言うと、祖父はカウンター席から立ち上がり、腰を押さえながら厨房に入っていく。
そしてカウンター越しに東條さんに言った。
「但し、俺も忙しいんでね。君がふさわしいかどうかの最終判断は友梨の母親に任せるよ」
「わ、私?」
母は急に自分に判断をゆだねられて戸惑いながら自分を指刺した。
そんな母に思わず噴き出す。
私が噴き出した途端、兄も祖母も笑い出した。
東條さんはどういう表情していいのか困った様子で私の方に顔を向ける。
私は首をすくめて東條さんに微笑むと、彼もようやく緊張していた目元が柔らかくなった。
私の大好きな家族。
頑固でへそ曲がりだけれど、どんな時も私を愛情いっぱいに育ててくれた祖父。
祖父が東條さんにそんな風に言うってことは、彼のことを少なからずとも認めたってことだと感じた。
まっすぐな彼の気持ちが、きっと祖父に届いたんだ。
私のあの日から消えない痛み。
祖父の痛み。
そして、東條さんの痛み。
それぞれの痛みが、相手の痛みを和らげていく。
あの日の痛みがあったから、どこかで通じ合えたのかもしれない。
祖父は顔だけ東條さんの方に向ける。
「東條物産からは今は離れていますが、東條家の息子であるという事実はどうしたって消えない。その上で一人の人間として友梨さんにふさわしいかどうか判断してもらいたかったんです。僕という人間を知って、許して頂けるまでこちらに何度でも通う覚悟はできています」
「ふん。そんな覚悟をこの状況で易々と言えるなんて、君も色んな修羅をくぐってきてるな。なかなかの度胸だ」
祖父はそう言うと初めて口もとを緩めた。
「ええ」
東條さんも口もとを緩めた祖父に少しだけ微笑む。
「東條くんの気の済むまでここに通えばいい」
そう言うと、祖父はカウンター席から立ち上がり、腰を押さえながら厨房に入っていく。
そしてカウンター越しに東條さんに言った。
「但し、俺も忙しいんでね。君がふさわしいかどうかの最終判断は友梨の母親に任せるよ」
「わ、私?」
母は急に自分に判断をゆだねられて戸惑いながら自分を指刺した。
そんな母に思わず噴き出す。
私が噴き出した途端、兄も祖母も笑い出した。
東條さんはどういう表情していいのか困った様子で私の方に顔を向ける。
私は首をすくめて東條さんに微笑むと、彼もようやく緊張していた目元が柔らかくなった。
私の大好きな家族。
頑固でへそ曲がりだけれど、どんな時も私を愛情いっぱいに育ててくれた祖父。
祖父が東條さんにそんな風に言うってことは、彼のことを少なからずとも認めたってことだと感じた。
まっすぐな彼の気持ちが、きっと祖父に届いたんだ。
私のあの日から消えない痛み。
祖父の痛み。
そして、東條さんの痛み。
それぞれの痛みが、相手の痛みを和らげていく。
あの日の痛みがあったから、どこかで通じ合えたのかもしれない。