そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
エピローグ
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なんとなく朝から嫌な予感がしていた。

前任の後輩と連絡が全く取れないこともあったせいか?

胸騒ぎを覚えながら新しく担当を引き受けた店に向かうと、定休日のはずの店には人だかりができ、それは真っ赤な炎を上げて燃えていた。

夕暮れ時の空のオレンジに同化するように火柱が立ち、辺り一面鼻をつく焦げた匂いが充満している。

「誰か助けて!止めたのに・・・・・・私何度も止めたのに、ここのお嬢さんがさっき店の中に飛び込んでいったの!」

半ばパニックになりながら泣き叫ぶ中年女性が地面にうずくまっていた。

・・・・・・ったく。

どうしてこんな火の海に飛び込んでいったんだ。

理由はどうでもいい。

早く助けにいかなければ、店だけでなくそのお嬢さんとやらもやばいことになる。

俺は上着を脱ぎ捨て、そばにあった水道で上半身を濡らすと店の中に飛び込んだ。

店内は思っていたよりも火の手が回っていて、足場を探すのも一苦労だった。

「どこにいる?大きな声を出せ!」

バチバチと燃えさかる炎にかき消される声を何度も張り上げた。

このままじゃ俺もやられるな。

黒煙を吸い込んでむせかえる咳と炎の熱さに朦朧となりながら進んでいく。

その時、すぐ近くで「助けて」というか細い声が聞こえた。

ガッシャン!とものすごい音を立てて崩れてきた柱の向こうにうずくまる人影を確認する。

どうやって彼女の場所までたどり着いたのかはよく覚えていない。

ただ、無我夢中で彼女にかけよりその腕に抱き上げた。

「あきらめるなよ」

俺は何度も胸に抱く彼女に声をかけた。

いや、その言葉はひょっとしたら火の恐怖と戦う自分自身に投げかけていたのかもしれない。

どうにか火の手を逃れて外に出ると、想像以上の外気の冷たさに一瞬身が震える。

俺はぐったりとした彼女を待ち構えていた人達に預け、自分の上着をひっつかみフラフラと車に戻った。

運転席に乗ると、急に右腕に痛みが走る。

触れることすら躊躇われるような火傷であることはすぐにわかった。

やっちまったな。

なんとか都心まで痛みは持つか・・・・・・。

俺は一度大きく深呼吸すると、車のエンジンをかけた。
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