そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
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夕方のフライトで戻って来ると聞いていたから、仕事は定時きっかりに切り上げ急いで家に帰った。

玄関を入ると、まだ帰って来ている気配がない。

私の方が早かったか。

ちょっぴりがっかりしたけれど、気を取り直して久しぶりに料理の腕を奮うためにエプロンを腰に巻いた。

あんなにセレブな生活をしているから、さぞ舌も肥えていて毎晩ステーキ食べさせろなんて言われるかと思っていたら、意外と所望するメニューは庶民的。

肉じゃがとか豚のショウガ焼きとか、彼は家庭的な味をとても好んだ。

祖母譲りの味付けは、とても優しくて彼の好みにマッチしたようで、私が作ってる横にぴったりくっついてその調理法を興味深げに観察する。

今日は彼の大好きなハンバーグと豚汁と決めていた。

鍋を火にかけている間にミンチをこねる。

手際の良さは母譲り。

私は家族から本当にたくさんの宝物をもらったんだなって、結婚してから感じることが多い。

俵型のミンチ肉を手のひらで平たくして真ん中にくぼみを作り皿に置いていく。

その時、ズボンのポケットに入れていたスマホが震えているのに気付いた。

彼からだろうか。

慌てて手を洗い、ポケットのスマホを取り出す。
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