そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「伸び率トップクラスなんだ。でもわかるような気がするわ。オフィス内もとても気持ちがいい環境作ってくれてるし、今度使うイベントスペースもとても充実してる。それにね、スタッフ皆が美男美女ですごく対応もいいの!」

「お前、まさか美男につられてそのオフィス通ってるんじゃないだろうな」

「全然、全く興味ないし。だけど一つ難点があるわ。スタッフは皆すばらしいのに東條大智GMってすっごく感じ悪いの」

ビールを飲んでいた兄が目を丸くしてグラスをテーブルに置いた。

「友梨はGMと会ったことあるのかよ」

「ええ、二度も会ったわ。なのにとっても無愛想な上に私のこと『お嬢ちゃん』だなんて小馬鹿にしたこと言うの」

兄は口を押さえて笑い出した。

「笑わないでよ。私真剣に腹が立ったし落ち込んだんだから」

「ごめんごめん。っていうか、そんなすごいGMに声かけてもらっただけでも大したもんだよ。ビジネス業界では皆が一目置くような相手だぞ。俺だって雑誌に載ってるの見ただけで本物拝んだことないし」

「そりゃ、初めて会った時は息をのむほどのオーラだったけど。よくよく考えてみたら別に拝むほどの相手ではないわ」

私は兄からプイと顔を背けた。

ああ、またあの小馬鹿にした顔で『お嬢ちゃん』と言ったGMの顔が思い出されて胸がふつふつ沸いてくる。他の誰かに言われてもそんなに腹が立たない言葉なのかもしれない。だけど、なぜだか彼には言われたくなかった。

そこへタイミングよく熱々の鉄板に乗ったハンバーグが運ばれてくる。

一瞬で私の気持ちはそのハンバーグへ向かった。

花より団子だねぇ。これじゃ、本物の恋に出会うのもまだまだ先かもしれない。

兄のビーフシチューも同時に運ばれてきたので、一緒に手を合わせて食べ始めた。
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