そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
7.秋の海
7.秋の海


遅めの朝食を摂った後、GMの車でホテルの外に出た。

とてもいい天気でビルの間から真っ青な空が覗いている。

「いいお天気ですね」

フロントガラスの向こうに流れていく青空を見ながら言った。

「ああ」

彼の横顔はクールだ。でもあんな風に大きな声で笑って、本当は笑うのが好きな人なのかもしれない。

立場上、クールにしておかなくちゃならないからってだけで。

そんな謎めいたGMのことが少しだけ理解できたような気がした。

理解できただなんて私ごとき人間が立派なGMに対してそんなこと言っちゃダメだと思うけれど。

「岩倉さんはどこか行きたい場所はあるか?」

ふいに尋ねられる。

「そうですねぇ。海が見てみたいかな。海の近くで育ったのでたまに無性に海を見たくなるんです」

「ふん。なるほどね。じゃ海に向かおう」

そんなあっさり私の意見が通るとは。それも意外だったけど、GMは単にそれほど拘りがないだけなのかもしれない。

ポプラ並木が黄金色の葉を揺らしすっかり秋の気配を感じる。

「海って夏っていうイメージがありますけど、私は秋の海も結構好きなんです」

「どういうところが好きなんだ?」

「気候もいいから砂浜をゆっくり歩くと風が心地がいいんです。10月だったら砂浜にはそれほど人もいないし、サーファー達が波に乗ってるのをぼーっと見てるのも楽しいです」

「なるほどね。じゃ、御宿海岸でも行くか」

「行ったことないです」

「それならよかった」

GMは口もとを緩めるとスピードを上げた。

秋晴れの海はきっと美しいだろう。

キラキラとやわらかい秋の日差しを波に乗せて。






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