そばにいさせて～クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
実家に帰るなんて本当に久しぶりだ。

皆元気にしているだろうか。

急に帰ったら家族は皆驚くかもしれないけど、こっそり帰って驚かせたいような気もする。

海岸沿いに置いた車に向かう途中、GMが「家に電話しなくていいのか？」と尋ねてきた。

「いいんです。どうせ帰るなら皆を驚かせたいので」

「悪い奴だな」

GMはそう言って苦笑した。

電車なら二時間かかるけれど、車だったら一時間ちょっとで着く。

高速を走っていると、ほどなくして見慣れた懐かしい景色が目の前に広がってきた。

連なった山の向こうに水平線がきらめいている。

山は紅葉が進んでいて、赤とオレンジ色のコントラストはまるで山が燃えているように見えた。

「相変わらずいい場所だ」

GMは誰に言うわけでもなく前を向いたまま小さな声で呟く。

自分の故郷のことを褒めてもらうのは誰であってもとても嬉しい。

大好きな場所。

家族に愛され、私が育ってきた大切な場所だから。

T町には本当に何度も訪れていたんだろう。GMは道を伝えなくても高速を降りてからの運転も迷いなくスムーズだった。

まるでうちの実家にも訪れたことがあるんじゃないかっていうくらいに。

「T町の地理、よくご存知ですね」

思わず感心してGMの横顔に投げかける。

「以前仕事で何度も来ていたからな」

そういう割に、彼の目元はなぜだか寂しそうに見えた。


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