そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「はい、でも誤解を与えてしまうような軽率な行動をとってしまった私が悪いんです。本当に申し訳ありません」

なんだかその微笑みが本当に笑っているように見えず思わず視線を落とす。

「GMにとっては岩倉さんは女性ではなく子供のような存在だそうで、全くそういうような対象ではないと申しておりました。だから、夜酔いつぶれてしまった岩倉さんがあまりにも不憫でとりあえず部屋に連れていったと。私もGMから話を聞いて、こんなまだ幼さの残るかわいらしい女性をGMが相手にするなんて思ってしまったこと自体恥ずかしいです。本当にごめんなさいね」

山村さんの言葉には明らかに皮肉が含まれているような気がした。

微笑んでいるけれど、そのアイシャドウにまみれた目はとても冷たく光っている。

「お嬢ちゃん」と言ってくすっと笑ったGMの横顔を思い出した。

やっぱり、GMにとっては私は子供みたいな存在。

女性として見えないんだ。

あらためてそんな風に突きつけられると、私だって年頃の女性だからやっぱり傷付く。

言われる通り、色気もないし、男性の経験もない。
レディというよりはお嬢ちゃんなのかもしれない。

胸の奥がきゅーっと締め付けられた。

山村さんに侮辱されたっていうよりも、GMにそう思われているってことに。

茶封筒を胸に抱えたまま、うつむいて動けない。

「まだ、何か?」

うつむく私に山村さんは尋ねた。

「あの、これをGMにお渡し頂けますでしょうか?」

思い切って彼女の前に差し出す。

「これは?」

山村さんは眉をひそめて手渡された茶封筒を見つめている。

「渡して頂けたらわかります」

そんな彼女に対して素直になれない私の口調は思わず強くなってしまった。

しまったと思ったけれど、既に時は遅し。
山村さんの眉が明らかにつり上がったのがわかった。

「ええ、承知致しました。本日は出張でおりませんので、明日の朝GMに渡しておきます」

山村さんはそう言うと、私の茶封筒を他の書類と一緒に抱え、カツカツと足音を強く響かせながら奥の事務室の方へ行ってしまった。
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