そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「今、恐らく君が心配しているような間違いはないから大丈夫だ」

自分の心の中をそのまま読まれたようで顔が熱くなった。

「ま、俺も一応男だから、絶対とは言い切れないが」

彼はそう言うと、いつものように意地悪な顔をして笑う。

「止めて下さい」

私はぷいっと横を向いた。

きっと私の反応を見て楽しんでるだけだろうけど、そんな風に言われるたびにドキドキが止まらなくなる。

「とにかく状況が落ち着くまでの間だけ部屋を借りると思えばいい。シェアオフィスもそうだが、アメリカではシェアハウスもよくある話だ」

そう言うと、彼はそっと私の頬に大きな手のひらを当てた。

ドクンと心臓が跳ねる。

「そんなことより、さっきの君を見ていたら今家に一人でいるのは無理だ。俺もそういう事実を知ってしまった以上見て見ぬふりはできない」

こんな、優しい表情するんだ。

初めて会った時の鉄のように冷たい表情のGMと今の彼が同一人物とは思えない。

だけど、GMの言う通りだった。

これまで必死に堪えてきたけれど、一人で家に帰る恐怖心はますます大きくなっている。これ以上堪え続けることにも限界があると、さっき自分を見失ってようやく気付いた。

「君もこういう状況が解決しない限り落ち着いて家に戻れないだろう。俺なりに特別な機関を通じて調査してみる」

「調査?そんなことできるんですか?」

「まぁ、できなくはない」

東條GMって本当にすごい人なんだ。一般人の私には計り知れない。

GMが一体どんな人物なのかまだよくはわからないけれど、今頼れるのは彼以外考えられなかった。

例えものすごく悪い人だったとしても、今はそうじゃないって信じたい。

夜が更けた後、こんなにも心が落ち着いているのは本当に久しぶりのことだったから。

「ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」

GMは頷くと、そう答えた私にようやく安心したのか頬に当てていた手を外す。

その後すぐ、彼について来てもらって家の荷物を簡単に纏めスーツケースに詰め込み、GMの家に一緒に向かった。
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