嬉し涙を流す場所は。
病院にいる時とはまた違う。
ほんの少しプライベートな冴島先生の
目にはどこかしら迷いが感じられた。
冴島先生の彼女の言葉がこだました。
医者になったのは医者になるようにしか
育てられてこなかったから。
だったら、冴島先生の本当の
気持ちはどうなんだろう‥。
蒼太「あの、一つ聞いてもいいですか?」
雄大「何?」
蒼太「冴島先生は医者に
なりたくなかったんですか?」
雄大「どうしてそう思うの?」
蒼太「先生は言ってました。
俺たちは無力だって。」
冴島先生は俺の質問には
答えてくれなかったけど
微かな笑みを浮かべ
別の質問を俺に投げつける。