嬉し涙を流す場所は。

雅喜「慰めかよ。」

脩「分かりますよ。
俺も同じ事思ってますから。
昔から他人の命に興味などない。
だけど、俺は医者の息子だから
当たり前のように医者になる事を選んだ。
本当に医者になりたいのか?って
詰め寄られれば俺は答えられません。」

俺はまた弱音を吐く。
この数ヶ月間で目の当たりにした
現実が俺の甘さを思い知らせた。

雅喜「すげぇ場所だよな。
毎日毎日、人が死んで
毎日毎日、患者が運ばれてきて
毎日毎日、赤ん坊が産まれて
この世に性を授かって
人間の始まりから終わりを
見せられてさ何つーかこんな場所に
雄にいはずっといたんだ。すげぇって。
働けば働くほど、その凄さに
気付いちまって尊敬すらしてしまう。
こんなんじゃ勝てねぇよな。」

御曹司は不思議な奴だ。
雄にいと同じような安心感がある。
多分それは、御曹司が
雄にいと同じ立場にいる人間だから。
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