嬉し涙を流す場所は。
冴島先生はホワイトボードに
貼ってある俺の名札と
自分の名札を裏返した。
雄大「怜くんが夢や希望もない平凡な
高校生なら悩まずに済んだだろうな。
特別な何かを持つという事は
その分、悩む事も多くなる。
柳瀬も医者という仕事を選んだから
今、悩んでるんだろ?」
蒼太「別に俺は悩んでないです。」
雄大「少なくとも医者という
仕事を選ばなければ人の命について
考える事はなかっただろうな。」
冴島先生を付き合わせているという事は
十分すぎるほど分かってる。
名札をひっくり返したという事は
早く帰りたいという意味なんだろう。
蒼太「すみません。もういいです。」
雄大「逃げるな、柳瀬。」
蒼太「でも...」
雄大「これも指導医の仕事だ。
解決するまでは付き合う。」