嬉し涙を流す場所は。

でも、一番近くで見てきた人は
松下くんなんかじゃない。

稀「松下くんは絶望を感じた事がある?
もう生きたくないくらいの絶望を。」

松下「...ない...かも。」

稀「雄にい...私の彼氏は
毎日、絶望の中で生きてるの。
でも、だからこそ幸せなんだよ。」

松下「絶望だから幸せって
矛盾してない?」

稀「人の事ばかり考えて
落ち込んで悩んで苦しんで
心を痛めて...自分自身の事を
蔑ろにしちゃう人なんだ。
だから、誰かが大切だよって
好きだよって伝えてあげなくちゃ。
その誰かが私でいたいんだよ。」

松下「俺、フラレてるよな?」

稀「うん、ごめんなさい。
私はこれから先も松下くんを
好きにはなれません。
でも、こんな私の事を
好きって言ってくれてありがとう。」

松下「そっか。」

稀「じゃあ、私、帰るね。
また明日学校で。」
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