嬉し涙を流す場所は。

蒼太「本当はあんたは
まだ生きたいんだよ。」

美優「そんな事ない!!私は‥」

死にたい気持ちは分からない。
だけど、生きる意味が見い出せない
その矛盾と葛藤は理解出来るように思えた。
俺が医者を目指した理由は
生きたい気持ちの見出し方を
知りたかったからだ。

俺の父は生きる意味を見出せず
家族を捨てた後、見知らぬ土地の
道端で心臓発作を起こし死んでいた。
何故、父は俺たちに話さなかったのだろう。
そんなにも大切な事を。

思えば、あの人は何も話さない人だった。
医大への進学が決まった
高校3年生の年越しに
珍しく父が年越しそばを
食べに行こうと誘ってきた。

俺とお袋と父と姉ちゃん。
家族4人で外出したのは
この日が最後だった。
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