嬉し涙を流す場所は。

正直、俺は人に何かを
教える事は得意ではない。
未完成な人間が誰かの指導をするなんて
おこがましいと思ってしまう。

それでも、今更そんな事は言えないし
俺は昔からいつだって
誰かの思い描いた完璧な人物像に
近付く事に必死だった。

医者にはなりたかったと思う。
でも、少なくとも俺は
大病院で働くために医者に
なった訳ではない。

病院を出た俺は自宅に戻り
ある人物に電話をかける。

思ったより早くその人は電話を取った。

雄大「久しぶり。」

父「何の用だ?」

5年ぶりに電話をかけたにも
関わらず相変らずその人は
ぶっきらぼうだった。

雄大「うん、いつになるか
分からないけど近い内に
そっちに行こうと思ってる。
急に帰ってびっくりさせるのも
悪いから、一応連絡した。」

父「そうゆう連絡は
母さんにしなさい。
忙しいから切るぞ。」

俺にだけ厳しい
父親はやっぱり相変わらずだった。
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