最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~

1、クールな上司は御曹司

「東雲さん、もうすぐ赤石部長の送別会始まっちゃいますけど……」
水沢さんが、パソコンの電源を落として私に声をかける。
彼女は水沢百合。私の二年後輩で黒髪ボブが似合う可愛い子。とても気が利くし、しっかりしている。
「ごめん、まだかかりそう。悪いけど、隣のビルの花屋さんで、花受け取って会場に行ってくれない?支払いは終わってるから」
伝票の数字を入力しながら、口早に言う。
今日は三月二十九日の金曜日で、年度末最後の出勤日。
期末の処理が残っているし、赤石部長の荷物の片付けや、新部長を迎える準備もある。
とてもじゃないが、送別会には行けない。
今行けないと言えば、私を気遣って彼女は"手伝います"と言いそうだ。
だが、それでは送別会が盛り上がらない。
あとで彼女に"やっぱり行けない"とメールしよう。
「わかりました。また後で」
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