最愛～一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました～

「香澄、下見てごらん。魚がこの船を追いかけてきてる」
その言葉に下に目を向けると、体調十センチから二十センチほどの魚がこの船についてきていた。
「わ〜、船を見ても逃げないんだね」
ニコッとしながらそんな発言をすれば、前にいたガイドさんが笑顔で説明する。
「この船が撒き餌をするのを知ってて集まってくるんですよ。よかったら、やってみますか？」
ガイドさんの足元に魚の切り身が入ったバケツが置いてある。
釣りの餌にでも使うのかと思っていたんだけど、撒き餌だったんだね。
「はい」
にこやかに返事をしてガイドさんの指示に従って撒き餌をすれば、周辺の水面に波が出来て魚がたくさん寄ってきた。
ほんの数秒で魚はパクッと餌を食べ尽くす。
「わ〜、凄い食欲」
興奮する私を見て慧がすかさず注意する。
「あんまり身を乗り出すと、海に落ちるぞ」
「は～い」