最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
「あっ、ごめん。ちょっとボーッとしてた」
ハハッと笑って誤魔化す私の頬を掴んで軽くつねる。
「香澄がボーッとしてるのはいつもだ」
「うっ、痛い。そんなにいつもボーッとしてないよ」
頬を押さえて反論するが、ハーッと慧はわざとらしく溜め息をついた。
「自覚がないとは重症だな」
それから車が空港に到着すると、お土産を買い、搭乗手続きをして、専用ラウンジで待つ。
帰りも私達だけなのかラウンジに人はいない。
ソファに座ると、慧が我が物顔で私の膝の上に頭を乗せた。
「ちょっ……慧、誰かに見られたら……」
彼の突然の行動に驚きあたふたしてしまう。
「病人の振りをする」
茶目っ気たっぷりに言って、手を伸ばして私の頭を掴む。
「最後の島時間を楽しもう」
甘い声で囁くと、彼は私にそっと口付けた。
慧が甘えているように見えるけど、実際は私が彼に甘やかされているのだ。
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