最愛～一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました～

水沢さんがそんな話をすると、慧は私に目を向けた。
「へえ、そうなんだ。でも、あまり焼けてないな。東雲さんは清里の高原とかで涼んでそうだけどね」
目が思い切り笑ってる。
一緒に過ごしたのに、澄まし顔でそんな返しが出来る彼はホント凄いと思う。
私なら声が震えちゃうよ。
もうすでに顔が強張ってるけど。
「東雲、沖縄行ったんだ。やっぱり彼氏と？」
田辺君もその話題に食いつき私を冷やかすが、その質問に食べていたパスタが喉に詰まりそうになった。
この面子に"彼氏と"なんて言えるわけがない。
言ったら、さらに田辺君に追及されそうだ。
「ご想像にお任せします」
平静を装って答えるも、まだ彼に何か言われそうでハラハラしていた。
「お前ってホント秘密主義だよな。水沢なんて去年彼氏と別れたって俺に報告してきたぞ」
田辺君は面白くなさそうに目を細めると、すかさず水沢さんが殺意を込めて彼を睨みつける。