最愛～一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました～

それだけ私の罪は重い。
あんな素敵な人と付き合えただけでも神に感謝すべきなのかもしれない。
それはわかってる。
でも、諦めきれないのだ。
なんて強欲な自分。
彼の手を取った時に、どんな結果も受け入れる覚悟だったのに、今必死に足掻いている。
これは悪夢なんだ。
それか……藤井さんが言ったことは嘘で、本当は婚約なんてしないんだ。
慧も笑って否定するに決まってる。
そんな囁きが私の頭に直接聞こえてくる。
だが、それらは私の妄想。
慧と藤井さんは婚約して、そして……結婚する。
それが、現実なんだ。
藤井さんが私に嘘をつく必要なんてない。
「……彼と別れたら、仕事も辞めないとね」
彼女だって、私がずっと慧と同じ職場で働くのは嫌だろう。
私だって無理だ。
精神的におかしくなってしまう。
気づけば夜が明けて小鳥がチュンチュンと鳴いていた。