最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
政略結婚でもふたりは幸せになれるだろう。
ふたりの家族もそれを望んでる。
「私が身を引けば全て上手くいく」
自分を無理矢理納得させると、パソコンを立ち上げた。
慧から仕事のメールが五通ほど届いている。
ズキッと胸が痛くなるが、仕事のメールを無視するわけにはいかない。
ビクビクしながらそれらに目を通すと、会議のアレンジや資料の纏めの指示、来客に関する内容でホッと胸を撫で下ろした。
「おはようございます」
水沢さんが現れてニコッと微笑むが、私が「おはよう」と挨拶を返すと、彼女はあからさまに顔をしかめた。
「何ですか、その顔。寝てないでしょう?」
怒って仁王立ちする彼女に小声で謝る。
「……ごめんなさい」
すっかり立場が逆転している私達。
「東雲さんがそんなんじゃあ、オフィスの空気も暗くなります。昨日はあえて聞きませんでしたけど、何があったんですか?」
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