最愛～一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました～
厳しいことを言うが、彼女が私のことを思って言ってくれているのが伝わってくる。
やっぱり彼女は気づいていた。
私と慧とのことを知っている彼女には伝えておいた方がいいだろう。
「……蓮見さんが婚約するらしいの。藤井リゾートホテルの社長令嬢と」
それを自分の口から言うことで、彼への思いを断ち切ろうとした。
私の言葉に彼女は顎に手を当てながらさらに突っ込んで聞いてくる。
「……そう言えば秘書室にいる私の同期がそんな噂話をしてましたけど、蓮見部長が直接東雲さんにそう言ったんですか？」
その質問に、力なく首を左右に振って答えた。
「ううん、藤井リゾートホテルの社長令嬢に言われた」
「それで絶望的になる気持ちはわかりますけど、部長に直接確かめた方がいいですよ」
私の肩に手を置き水沢さんは優しく言うが、私はじっとパソコンのキーボードに置いた自分の手を見つめ不安を口にした。
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