最愛～一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました～

念の為バッグの中を見て財布とスマホがあるのを確認する。
「うん、ちゃんとある」
彼女にそう返事をすると、パソコンの電源を落とし、デスクの上をサッと片付け、慧のスケジュール帳を差し出す。
「これ蓮見部長のスケジュール帳。何か予定が入ったら必ず部長に連絡して」
「わかりました。お父様のことは私から蓮見部長に連絡しておきます」
水沢さんが私の目をしっかりと見てスケジュール受け取った時、田辺君がやって来た。
「どうした？ふたりしてピリピリしてないか？」
ただならぬ空気を感じたのか、彼は真面目な顔で声をかける。
「私の父が交通事故に遭ったみたいで今から実家に帰るの」
田辺君に説明すると、彼は沈痛な表情で言った。
「それは大変だな。こっちのことは俺達でフォローするから、東雲は心配すんな。慌てて階段踏み外したりするなよ。何か俺達で力になれることがあれば遠慮なく連絡してこい」