最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
その頼もしい言葉に胸が温かくなる。
田辺君も水沢さんも今までただの同僚だと思ってた。
でも、違う。
ずっと一緒に仕事を頑張ってやって来た仲間なんだ。
「ありがとう」
涙ぐみながら礼を言うと、バッグを手に持ち、「じゃあ、行ってくる」とふたりに声をかけてオフィスを出る。
だが、田辺君もなぜか一緒についてきた。
不思議に思って彼を見れば、ポンと頭を軽く叩かれた。
「お前結構そそっかしいから正面玄関まで送る」
今までの私なら"そんなのいいよ"と断っていただろう。
ずっとひとりで生きてきたつもりだった。
だけど、いろんな人に支えられて来たんだ。
私は……ひとりじゃない。
今日は彼の申し出に甘えることにした。
「うん」と返して彼と並んで歩く。
「お父さんのこと心配だろうけど、お前ちゃんと食事しろよ。やせ細って帰って来たら承知しないからな」
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