最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
憎まれ口を叩くが、彼なりに私のことを心配してくれているのが嬉しかった。
正面玄関に着くと、タクシーが停まっているのが見えた。
近づいて運転手に確認したら、水沢さんが手配してくれた車だった。
「このタクシーに乗って行くから。ここまでありがと」
田辺君に礼を言うと、タクシーに乗り込む。
「ああ。ボーッとして降りる駅間違えるなよ」
彼はそう注意しながら、私の背中を優しく押した。
「うん、気をつける」
彼の目を見て返事をすると、タクシー運転手に行き先を告げた。
「東京駅までお願いします」



米原で新幹線から特急に乗り換えると、よく知った方言が聞こえて来た。
「椅子にずっとおちょきんして疲れん?」とどこかのお母さんが五歳くらいの子供に言っている。
福井弁だ。
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