最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
13、思い出の場所でのプロポーズ
父の手を握っていたら、ピクッと指が動く。
時刻は午前九時過ぎ。
また何かの反射反応かと思ってあまり期待しないでいた。
昨日も何度か父の指が動いて兄や担当の医師を呼んだら、『反射』と言われたのだ。
医師からのアドバイスもあり、ずっと父の手を握って話しかけたり、身体をさすったりして刺激を与えているが、手術を受けて二日経ってもまだ意識は戻らない。
だけど、今、父はうっすら目を開けていて……。
「お父さん!」
父の顔を覗き込んで、叫ぶように声をかけた。
目を開けたのは初めてだったのだ。
焦点が定まらないのか、ボーッとしているようなその目。
「お父さん、わかる?香澄だよ」
自分がいることを伝えたら、今度は指に力が入るのを感じた。
「私の声聞こえてるの?」
父の反応を確かめたくてそう言うと、私の手を弱々しいながらも握ってきた。
時刻は午前九時過ぎ。
また何かの反射反応かと思ってあまり期待しないでいた。
昨日も何度か父の指が動いて兄や担当の医師を呼んだら、『反射』と言われたのだ。
医師からのアドバイスもあり、ずっと父の手を握って話しかけたり、身体をさすったりして刺激を与えているが、手術を受けて二日経ってもまだ意識は戻らない。
だけど、今、父はうっすら目を開けていて……。
「お父さん!」
父の顔を覗き込んで、叫ぶように声をかけた。
目を開けたのは初めてだったのだ。
焦点が定まらないのか、ボーッとしているようなその目。
「お父さん、わかる?香澄だよ」
自分がいることを伝えたら、今度は指に力が入るのを感じた。
「私の声聞こえてるの?」
父の反応を確かめたくてそう言うと、私の手を弱々しいながらも握ってきた。