最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
その言葉に心の闇が消えていくような気がした。
私……ここに帰って来て良かったんだ。



「空が青い」
病院の屋上のベンチに座ってボーッと雲ひとつない澄んだ空を眺める。
兄に『父さんの意識が戻ったし、香澄はちょっと息抜きしておいで』と言われ、屋上にやってきた。
ここに来たのは小六の頃、私を暴漢から助けてくれたお兄さんがお見舞いに来て以来だ。
父はこれから回復していくだろうし、危篤状態は脱した。
優秀なスタッフや兄もいるし、もう大丈夫だろう。
次は慧に向き合う番だ。
バッグからスマホを取り出して、思い切ってラインの画面を開く。
すると、慧からのメッセージが溜まっていた。
【ラインの返事がないけど、どうした?】
【ライン届いてる?】
【水沢さんからお父さんのこと聞いたよ。気をしっかり持って。なにかあれば深夜でも連絡を】
【お父さんの手術、無事に終わったんだって?ちゃんと食べているのか?】
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