最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
「ああ、おはよう。ちょうどパンが焼けたんだ」
私を見て挨拶すると、彼はオーブンミトンを手にはめ、ホームベーカリーからパンを取り出す。
ストライプのエプロン姿も素敵だ。
「うわあ、ホームベーカリーがあるんですね」
自分の失態も忘れ、マジマジとホームベーカリーを眺める。
昔から焼き立てのパンを食べることに憧れていた。
「実家にホームベーカリーがあって、俺の家にも置こうと思って買ったんだ」
蓮見さんはそう話しながら、パン切り包丁でパンを切る。
実家……という言葉を使っているってことは、彼はひとり暮らしなんだ。
それを聞いてホッとした。
蓮見さんの話を聞いてると、とても温かな家庭な気がする。
たぶん昨夜彼が話していたうっかり屋のお母様が焼き立てのパンを作ってくれるのだろう。
私には生まれた時から母がいなかったから、お母さんが家にいるだけでうらやましい。
< 24 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop