最愛～一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました～

「あっ、そう言えば東雲さん送別会来ませんでしたよね。蓮見部長、会社に来てたんですか？」
「うん。うちの部の様子見にね」
彼女にそのことを話すと、興味津々といった顔で私を見た。
「え～、どんな人でした？」
「凄く格好良くて仕事も有能そうだった」
自分の印象を水沢さんに伝えるが、彼女はクールに返す。
「うちの若い女子社員が色めき立つだろうな。私的には優しい上司であれば顔はどうでもいいですけど。玉の輿なんて興味ないし」
「水沢さんって結構現実的なんだね」
私よりも若いし、もっと"キャー"ってはしゃぐかと思った。
「東雲さんはどうなんですか？」
自分に話を振られ、ギクッとする。
「わ、私も……恋愛とかはいいかな。ひっそり静かに暮らしたい」
狼狽えながらそう答えたら、田辺君がやって来た。
「東雲、なに世捨て人みたいなこと言ってるんだよ。まだ、俺と同じ二十七だろ？」