最愛～一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました～

「はい」
コクリと頷いて自席に戻ると、田辺君に突っ込まれる。
「お前、能面みたいな顔してて怖いぞ。……あれ？そういやメガネ変えた？フレーム赤い」
彼の指摘に一瞬頭の中が真っ白になったが、なんとか誤魔化す。
「……なくしたの」
部長の家に忘れてきたとは言えない。
多分もう戻ってはこないだろう。蓮見さんにメガネを返されても……それはそれで気まずくて困る。
メガネのことにこれ以上触れられたくなくて、それ以上は何も話さず、蓮見さんのメールを開いた。
内容は先週末に彼に見せた予算の修正についてだ。
この資料いつ作ったんだろう。
きっと昨日かな？
多分、彼にとっては私と寝たことなんて大したことではないのだろう。
私はずっと悩み続けていたのに、彼は仕事をしていた。
そう考えると、じわじわと涙が込み上げて来た。
ダメ。仕事に集中しろ。
ハーッと深呼吸して気持ちを落ち着かせる。