最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
添付ファイルをプリントアウトして蓮見さんに手渡すと、彼に一瞬手を捕まれた。
え?
ビックリして蓮見さんをじっと見る。
「後で話がある」
彼はそう告げてすぐに手を離し、書類を持ってオフィスを出て行く。
話って……何の?
仕事?それとも週末のこと?
それからビクビクしながら仕事をしていたが、幸いにも蓮見さんのスケジュールが詰まっていて、私と彼がじっくり話す時間はなかった。
午後六時に彼を会社の正面玄関まで送り出すと、大きく息をついた。
ずっと気を張り詰めていたせいか、疲労で身体がぐったり。
エレベーターに乗ろうとしたら、前をよく見ていなくて誰かにぶつかった。
「キャッ!?」
ぶつかった衝撃でメガネが床に落ちる。
「……すみません」
前を向いて謝ると、背の高い女性が屈んで私のメガネを拾い上げた。
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