最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
「おはようございます。珍しいですね。東雲さんがこんな時間ギリギリで来るの」
「お、おはよう。ちょっと寝坊しちゃって」
息を整えながらそう言い訳すると、彼女は納得したように頷いた。
「ああ、だから今日は髪を下ろしてるんですね」
「髪?……そ、そうなの」
水沢さんの指摘に苦笑いする。
実は朝髪を結ぼうとしたら、慧に言われたのだ。
『数日は結ばない方がいいかな』
『どうして?』と理由を聞いたら、彼はニヤリとした。
『俺のって印をうなじにつけておいたから』
そのやり取りを思い出して、赤面する。
嬉しいような恥ずかしいような。
今日は気を引き締めてないと絶対仕事でミスする。
慧もそろそろ来ていい頃だと思うんだけど、どうしたのだろう。
誰か役員に捕まっているのかな?
「東雲さん、髪結んでないのもいいですね。それに、メガネしてないのも素敵。メガネも知的な感じでいいですけど」
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