隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

頭からサーっと血の気が引いた。
それはたくさん湊人からたくさん連絡が来るのは当然だ。

慌てて着信履歴を確認すると、
私の携帯を何度も鳴らしていたのは湊人ではなく梨架だった。

冷静になって気がつく。
そういえば、私と湊人はお互いに今の連絡先を知らない。


「着信、妹からでした」

「帰って来ないから心配してたんじゃないのか?早く電話した方がいい」

そう言って、席を外してくれようと石川部長が椅子から腰を上げた。

気がつけば、
その手を私の右手が掴んでいた。

「……。」

ハッとして、慌ててその手を離す。

「あの…すみません、居てくださってかまわないです」

消え入りそうな声でそう言うと、
西野がいいなら、と再び石川部長が腰を落とした。
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