隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
信じられない。
わざわざそんな。
…あんな酷い態度をとってた私の為に?
確かに湊人は昔から優しい人だった。
でもそれとこれとは違う。
今の湊人は芸能人で仕事もしてて。
それに今の私はもう湊人の彼女でも何でもないというのに。
それなのに。
「…わかったありがとう。
とりあえず、すぐ戻るね」
そう言って電話を切った。
その優しさが。
──いつも、いつも私を。
「妹に心配かけちゃったみたいです。
早く家に帰らないと…」
動揺した心を隠してそう言うと、石川部長が優しく微笑んでそうだなと頷いた。
「もう落ち着いたか?家まで送ろうか?」
心配そうにそう石川部長が尋ねてくれたが、
こんなに迷惑をかけた上に送ってもらうだなんて有り得ないし、明日は車を使って梨架を送る予定があるから車を会社に置いておく訳にはいかない。
「いえ、明日車を使うので、車で帰ります。
もう気分もよくなりました」
「…それなら良かった」