隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
突然小さな叫び声を上げた私に石川部長が首を傾げる。
「あの、石川部長からお借りしていたジャケットのクリーニングが終わったのでお返ししようと思って持ってきてるんですけど…
今お渡ししても大丈夫ですか?」
「あぁ、ありがとう」
わざわざクリーニングまでしなくて良かったのに、と言う石川部長に、そういう訳にはいきませんと言って車から取り出したジャケットの入った紙袋を渡した。
紙袋を渡す時に石川部長の指先に手が少しだけ触れて、心臓が小さく跳ねた。
「ありがとうございました。
その、また明日…じゃなくて、月曜日に」
「あぁ、また月曜日。土日でしっかり体休ませろよ。気をつけてな」
そんな石川部長の優しい言葉が嬉しかった。
石川部長に心配されるのが嬉しい。
体調を気遣ってくれるのが嬉しい。
まるで心配をかける事を喜んでいるかのような自分の気持ちが嫌になる。
それでも、
何を思っていたって何を考えていたって、
どうせ自分の気持ちなんて自分が口に出さない限り他人には気づかれない。
それならもう、自分の気持ちにくらい正直でいたいと思った。