隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

「…梨架から聞いた。私も梨架からアドレス聞いてメール送ったし」

「あぁ、メール見たよ」

「その、昨日は…」


昨日はありがとう。
そう言おうとした時だった。


「わざわざ届けてやったのに、お礼がメール一本だけ?」

湊人のそんな言葉が強引に私の声を遮った。
少し意地悪で、まるでからかっているかのような声色。


「それは、どういう…」

「今日の夜空いてる?」

「まぁ、空いてるけど」

自分に引け目がある分、強気に返せないのがもどかしい。

「じゃあ8時に家まで迎えに行くから、ちょっと付き合ってよ」

なんでそんな事。
反射的にそう思ってしまい返事につまると、
湊人に"俺へのお礼とお詫びとして"と直ぐに付け加えられ、悔しいが承諾せざるを得なかった。

そして、湊人からは結局行き先は告げられないままに電話は終了した。
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