隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

いつものように長く垂らした前髪で片目を隠す事は出来ないが、ウィッグの前髪をぐいぐいと引っ張って出来る限り前髪が目にかかるようにした。

男装なんて初めてしてみたけれど、
初めてにしては中々上出来…な気がする。
そういえば梨架が舞台でこのウィッグを被って少年役を演じていた時も、ウィッグや少年の衣装がよく似合っていた。

顔だけは梨架と瓜二つなのだから、私があの時の梨架と同じウィッグを被り男装して、 それがうまく馴染む事は自然な事だろう。


そんな事を考えながら服装や髪型を整え終え、今日外出した時に薄く肌や唇に重ねていた化粧を落とし終わった時には時計の針は7時を指していた。

マンションを出ると、前の道路に車が停まっているのが見えた。マンションの階段を降りながら車の方を見ると、やはり車内にいるのは湊人だと気づく。

車に近づくと、湊人も私に気づき──
驚いたように目を見張ったのがわかった。
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