隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
「じゃあ私、待ち合い室で待ってるからカット終わったら教えてね」
「ちょっと梨架!」
そんな呼び止めに梨架が応じる筈もなく、
そそくさとヘアメイク室を後にしてしまった。
「ごめんごめん、もしかして莉子ちゃん何も聞いてなかった?」
「はい…」
こんな事もだが、髪を切ろうと思う、なんて話もまるで聞いていなかったのだ。
いまいち状況が掴めず突っ立ってしまっていた私に、安藤さんがとりあえずといった感じで椅子を引いた。
「いきなりでごめんね。でも梨架が髪を切ったのもこうする為だから、髪、カットさせて貰ってもいいかな?」
「……?」
ね、と微笑まれ、断る事も出来ず椅子に座ると、
直ぐにカットが始まった。
美容室ではないここにはシャンプー台はないから、霧吹きで髪全体を湿らせてからのスタートだ。
「あの、安藤さん。梨架が髪を切ったのもこうする為…って、一体どういう事ですか?」