隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
いきなりなんかじゃない。
思えば梨架はずっとそんな風に私の事を気にしてくれていた。
でもまさか、こんな…。
「莉子ちゃん。前髪、切ってもいい?」
「…はい」
そう尋ねられて、コクンと頷く。
長年ハサミを入れてこなかった前髪にハサミががかる。
ずっと私の事を守って隠して、世間の視線から逃れる為の長いカーテンのような存在だった前髪。
カシャッ カシャッ
ハサミを入れられるたびに、だんだんと視界がクリアになっていく。
前髪をあげるのは、ずっと運転や料理や食事をするときだけだったから、こうして鏡にうつる自分と目が合うというのは、くすぐったいくらいに変な気持ちで。
でもやっぱり嬉しかった。