隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
痛いところを指摘され、ただの風邪ですと嘘をついて俯いた。
「今日は帰らなくて平気か?」
「大丈夫です、全然」
そう答えると、
石川部長はそうか無理するなよと言ってオフィスに入ろうとした。
…どうしよう、会話が終わっちゃう。
せっかく梨架が髪まで切って応援してくれているのに、このままじゃ前と何も変わらない。
「…西野?」
そう思った私は、気がつけば石川部長のスーツの袖を引き留めるようにして掴んでいた。
ハッと我に帰り、一体私は何をしてしまったのかと掴んでいた袖を離す。
恥ずかしい。
こんな歳にもなってこんな事、恋人同士だってするかもわからないような、こんな。
私ってば、髪を切って無意識に大胆になってしまったんだろうか。そんなの痛すぎる。
…でも。